「百聞は一見に如かず」中国を見つめる日本の若者
北京市の現代アートスポット「798芸術区」を訪れ、毛筆で字を書く関口大樹さん。(資料写真)
【新華社北京12月2日】日本の若者が「私と中国」をテーマに作文を応募する「Panda杯全日本青年作文コンクール2022」で優秀賞を受賞した関口大樹さんと山口翔太郎さんがこのほど、新華社の書面取材に応じ、「百聞は一見に如かず」で、中国を訪れた経験が、ありのままの中国を理解するのに役立っていると述べた。
「百聞は一見に如かず」中国を見つめる日本の若者
北京市の現代アートスポット「798芸術区」で写真に納まる関口大樹さん。(資料写真、北京=新華社配信)
関口さんは受賞作で、高校生の時にテレビのドキュメンタリー番組で見た中国の世界遺産「九寨溝」の景色に感動し、いつか必ず行きたいと思うようになったと紹介。その夢が2年後に叶い、実際に九寨溝を訪れた時に見た「エメラルドブルーに輝く美しい湖、高山の澄んだ空気、圧倒的な美しさを放つその姿は、当時日本のテレビで報道されていた『環境汚染が進む中国』とは全く異なるものだった」と綴った。
九寨溝の旅を終えた関口さんはその後、何度も中国を訪れるようになった。最も印象に残っているのは2018年の深圳への旅だという。関口さんは「香港から高速鉄道で向かい、10分ほどで深圳に到着したことに驚いた。最新のIT技術を駆使したスーパーや、街を走る電気自動車(EV)、おしゃれな店や優れたデザインの建物などが印象的で、中国の急速な変化を実感した」と語った。
「百聞は一見に如かず」中国を見つめる日本の若者
山口翔太郎さんが撮影したマカオ特別行政区の市街地。(資料写真、北京=新華社配信)
山口さんは「三国演義」を読んだことがきっかけで、中国の歴史や文化に興味を持つようになった。中国へ一人旅をすると決めた時、中国のことをよく知らない友人からやめるように勧められ、山口さん自身も訪問前は少し不安を抱いたという。中国を訪れた時の様子について山口さんは「中国語がほとんど話せなかったが、小籠包の食べ方を教わったり、道を教えてもらったりと、多くの見知らぬ中国人から親切を受けた」と語り、実際に体験した中国は、当初の不安とは全く逆のものだったと振り返った。
「百聞は一見に如かず」中国を見つめる日本の若者
山口翔太郎さんが夜行列車で上海に到着した際に撮影した、駅のホーム。(資料写真、北京=新華社配信)
作文コンクールの表彰式では、日本の若者193人を対象に実施したアンケート調査の結果も発表された。アンケートによると、日本の若者は主に日本のメディアやSNSを通じて中国関連の情報を入手しており、中国に関する日本メディアの報道は、視聴者が中国を客観的かつ全面的に理解する上で明らかに限界があると考えていることが分かった。
普段はインターネットなどで中国関連情報を入手している関口さんは、実際に中国に訪れた経験があるので、ニュースで見るよりも理解しやすいと述べた。
「百聞は一見に如かず」中国を見つめる日本の若者
山口翔太郎さん。(資料写真、北京=新華社配信)
山口さんも最新情報はツイッターや中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボー)」などのSNSで知ることが多いが、インターネットやメディアだけでなく、自らの目で直接相手の国を知ることが最も大きな意義を持つと考えている。
中日両国の青年の相互理解促進について関口さんは、さまざまな価値観を持つ人と交流し、相手の文化や歴史、制度を理解することが重要だとし、「その上で、自らも主張しつつ、共通の課題や痛みがわかる分野で協力できるところを助け合っていく姿勢が大切だ」と語った。
「百聞は一見に如かず」中国を見つめる日本の若者
中華料理を作る山口翔太郎さん。(資料写真、北京=新華社配信)
両国の友好発展について山口さんは、先入観にとらわれず「色眼鏡」を外すべきだとし、「『百聞は一見に如かず』、相手の国や人を自分の目で直接知ること」が大切だと訴えた。今後については、再び中国を訪れ、西安や洛陽、赤壁といった三国志ゆかりの名所をめぐり、中国の高速鉄道や夜行列車、特に青蔵鉄道に乗りたいと夢を明らかにした。
「百聞は一見に如かず」中国を見つめる日本の若者
山口翔太郎さんが作った中華料理。(資料写真)
山口さんは中華料理や中国の推理小説にも非常に興味があり、小説家の紫金陳(ズ・ジンチェン)の大ファンだという。小説やドラマ、音楽などを通じて中国を知ることができると考えており、これらから両国の相違点や共通点を知り、親近感を覚えることもあると述べた。
慶応義塾大学で法律学を専攻する山口さんは、中国語や中国法の勉強にも励み、優秀な国際弁護士として両国の懸け橋になりたいとの目標を抱いており、「私の中国への印象は良い面が多く、今後の日中関係は楽観的だ」と語った。(記者/胡暁格、張帆)