婦人公論.jp 年金の受給開始時期は、定められた年齢範囲において自由に変更することが可能で、これを「繰上げ受給」「繰下げ受給」といいます。今回は、「繰上げ受給」「繰下げ受給」のメリット・デメリットと、受給開始時期の変更を検討する際の判断基準を解説します。今後の貯蓄計画を立てる上での参考になるはずです。 * * * * * * * 【表】ひと目でわかる! 繰り下げ繰り上げ メリットとデメリット 「繰上げ受給」とは 老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間保険料を払うことで、65歳から年金を受給できるのが基本です。しかし、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取ることができます。最大60歳まで、1ヵ月単位での繰り上げが可能です。 デメリットは、もらえる年金額が減ることです。繰上げ受給の請求をした時点に応じて、繰上げ1カ月当たり0.4%が減額されます。 また、繰上げの請求後に取消しや修正はできず、一度決まった減額率による年金を生涯受け取り続けることになります。 なお、繰上げ受給を選択した人は、国民年金(老齢基礎年金のみの人)では26.1%、厚生年金では0.5%となっています。 「繰下げ受給」とは 繰下げ受給をすると、もらえる年金額が増えます。66歳以降、いつまで受取開始を遅らせるかに応じて年金額が増額するしくみで、その増額率は1カ月当たり0.7%です。 2022(令和4)年4月以降に70歳を迎える人(1952年4月2日以降生まれの人)からは、繰下げ受給による年金開始時期の選択肢が70歳から75歳までに拡大しました。 なお、繰下げ受給を選択した人は、国民年金(基礎年金のみの人)では1.8%、厚生年金では1.0%となっています。 繰下げ受給のデメリットは、繰り下げ期間中は「加給年金」が受給できなくなることです。加給年金とは、65歳になって年金の受給権が発生した際、要件に当てはまる配偶者や子がいると上乗せされる家族手当のような制度で、最大で年額約39万円が支給されます。自分が加給年金の受給対象になっているかどうかは、事前に必ず確認しておきましょう。 「「ねんきんネット」の活用方法 将来もらえる年金額や自身の年金記録を手軽に確認」はこちら どっちがおトクなの? 繰上げ受給・繰下げ受給を検討する際は、「仕事による収入が無くなったあと、いくらあれば生活できるのか」を自身の生活費から逆算して考えるとよいでしょう。 ①繰上げ受給を検討したほうがよい場合 ・60歳以降の家計収支が赤字になる ・生活費が不足していて貯金がない ・働くことができない ②繰下げ受給を検討したほうがよい場合 ・公的年金無しでも生活費が賄える ・65歳以降も働くことによる収入がある ・貯金の取り崩しができる ・公的年金以外の年金制度(個人年金や企業年金、iDeCoなど)で生活費が賄える 「「公的年金シミュレーター」とは 将来もらえる年金額をシミュレーション」はこちら
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