(ブルームバーグ): 中国で週末に拡大していた新型コロナウイルス政策に対する抗議活動は28日、当局が北京などの主要都市に警察を大量配備したことを受けて沈静化に向かった。北京、上海、杭州、南京などでは街頭で取り締まりが行われ、ショッピングモールは早い時間に閉まり、当局者は定期的に通行人を呼び止めて身分証明書の提示を求めるなどした。
Vigil in Hong Kong Commemorating Victims of China’s Covid Policy
一方、香港では数十人規模のデモが行われた。デモ参加者は現地時間午後7時40分ごろに香港中心部のオフィス街に集まり、本土での抗議活動と同様に白紙を掲げるなどした。一部には、新疆ウイグル自治区ウルムチ市の高層マンションで24日夜発生した火災の犠牲者に追悼の花を手向ける人もいた。
中国国内では、週末に拡大した抗議活動が激化する事態は警察の戦術によって回避されたように見える。一方、ロンドンやシドニー、ニューヨークなど世界の各都市では抗議への連帯を示すデモが行われた。ニューヨークではコロンビア大学と中国領事館前で28日に追悼集会が予定されている。
習氏への挑戦
新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策への市民の反発は、共産党のトップとして異例の3期目入りを果たしたばかりの習近平総書記(国家主席)への直接の挑戦となる。その習氏は28日に北京でモンゴル大統領との会談を行うなど「通常モード」であることを示している。週内には欧州連合(EU)のミシェル大統領との会談も予定されている。
中国・習主席に難しいジレンマ、国民反発に望ましい選択肢ほぼなし
28日は夜に気温が氷点下まで下がるなど一段と冷え込む中、北京の北部では少なくとも100台の警察車両と大量の制服・私服警官が目撃された。上海の人民広場でも現地時間午後6時近くの時点で警察が大量配備され、人通りが少ないだけにその存在感がひときわ目立っていた。
資産価格の支えにも
ゼロコロナ政策に対する抗議行動拡大が習主席にゼロコロナ脱却の加速を促し、結果として資産価格の支えになり得るとみる市場ウオッチャーもいる。
ニューヨークの助言会社テネオ・ホールディングスのマネジングディレクター、ガブリエル・ウィルダウ氏は「習主席が過ちを公に認めたり弱みを見せたりするとは思わないが、今回広がった抗議により、中国指導部が以前の計画よりも迅速にゼロコロナ脱却を進める必要があると非公式に判断する可能性がある」と指摘した。
GAM香港の投資マネジャー、ロバート・マンフォード氏は「この種の世論の圧力が経済再開の加速を後押しする可能性があり、プラスになるのではと考えている」が、「当局が最近の出来事にどのように反応するかはまだ分からない」と語った。
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原題:Protests Are Muted in China as Police Deploy En Masse in Cities、China Protests Fuel Some Bets on Market-Boosting Covid Zero Exit(抜粋)
–取材協力:Iain Rogers、Jenny Leonard、Chunying Zhang.
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