全国弁連との「協議」を提案したが…(長妻議員)/(C)日刊ゲンダイ
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)をめぐる政府の被害者救済法案。全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が「被害救済のためにはほとんど役に立たない」と“酷評”するように抜け穴だらけだ。岸田首相は「改善」に後ろ向き。このままでは被害救済は1ミリも進まない。
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25日の衆院予算委員会で立憲民主党の長妻昭政調会長は「与野党関係なく、使える法律を作りたい」として政府案の問題点を追及。寄付の取り消し対象が狭いことを指摘した。寄付する側が「困惑」した状態であることや当該寄付が「必要不可欠」である旨を告知されることなど要件が厳格過ぎる。また、家族が取り消せる場合も信者本人の無資力が要件だったり、取り返せる寄付も月数万円が相場の養育費にとどまる。救済を阻む「壁」がいくつも存在するのだ。
岸田首相は「最大限、被害者救済のためにどこまで踏み込むことができるか、しっかり追求して法律を仕上げたい」と口では言うが、本当にヤル気があるのか。
■全国弁連の参考人出席を与党が拒絶
長妻氏は長年、旧統一教会問題に取り組んできた全国弁連の意見を聞くべきと主張。だが、25日の予算委に参考人として全国弁連の木村壮弁護士を呼ぼうとしたが、与党に拒絶されたと明かした。
岸田首相には条文づくりにあたり、全国弁連との「協議」を提案したが、岸田首相は「弁護団をはじめ関係者とはこれまでも政府として意見交換を行ってきた。これからも意見を聞きながら努力を続けたい」と一般論で逃げた。
全国弁連の川井康雄弁護士は言う。
「24日に政府から事業資産の寄付要求禁止など修正案が示されましたが、救済の範囲が狭すぎて、同種の被害の防止ないし抑止にはつながりません。内容を大幅に見直す必要があります。今後、政府が条文作りに向けた協議の場をセッティングしていただけるのであれば、全国弁連として全面的に協力します」
教団の元2世信者の小川さゆりさん(仮名)は救済法案について「やはり今国会内で成立してほしい」としつつ、「中身がないものを急いで作ってほしいわけではない。法に穴があると教団側が対策できてしまう」(11月2日の自民党の会合)と懸念を示している。
岸田首相は全国弁連や被害者に耳を傾けるべきだ。