SMBC日興証券、大和証券グループ、野村証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の就職者が多い、「大手証券に強い大学ランク」を紹介する。就職者数は、大学通信が各大学にアンケートし集計した。
安定感と高い給与水準などから、難関大の学生に人気が高い大手証券会社。その採用のハードルは高く、4社に1人でも就職者があった大学は、回答があった512大学中、94大学しかない。
その証券ランキングのトップ2は、1位が慶應義塾大で2位が早稲田大。ともに100人以上の就職者がいる早慶は、証券ランキングで抜けた存在。早大と3位の東大と比較すると、ダブルスコアの差がある。
もっとも、早慶との差はあるが、東大の証券への就職者は増加傾向。2012年と比較すると、証券の採用判明数が1314人から929人と3割減少する中、東大は31人(当時11位)から22年は59人に増加している。
5位の京大も21人(同14位)から41人に増えている。最難関国立大の東大と京大の就職者が増えている背景について、企業の採用支援を行っている、ワークス・ジャパンの清水信一郎社長は、「金融工学やAI分析などに基づいた、投資戦略や金融商品の開発などを進めるため、証券会社は理系の学生を求めている。そのため、優秀な理系の学生が多い、難関国立大の就職者が増えているのでしょう」という。
ランク外ではあるが、11位の大阪大も16人(同16位)から28人に増えている。また、理工系トップ私大の東京理科大も就職者が増え、当時の26位から17位に順位を上げている。
証券全体の採用数が減少傾向の中、国公立大の就職者が増えたこともあり、12年当時はトップ5に入っていた同志社大や関西学院大、立命館大といった、関西の難関私大の就職者数が減少。22年の順位は、同志社6位、関西学院8位、立命館16位となっている。
企業ごとの採用判明数は、大和証券が最多の361人で、野村証券282人、日興証券208人、三菱UFJ証券78人となっている。清水社長は採用判明数が多い、大和証券と野村証券の採用大学に注目して、こう話す。
「東大や明治大や同志社、関西学院など、採用判明数が少ない野村証券の就職者数が大和証券を上回る大学がある。伝統的に野村証券の就職者が多いこれらの大学は、会社全体の採用数が少なくなっても強さは健在です」
両社の就職者が多い大学は、大和証券が慶大48人、早大40人、京大22人、東大20人、神戸大と中央大が各19人。野村証券は慶大42人、東大23人、早大21人、明治大16人、同志社15人。
他の2社の大学別の内訳は、日興証券が早大37人、慶大27人、明治大14人、上智大と関西学院が各11人。三菱UFJ証券が、慶大10人、早大8人、東大と京大が各6人。次位は、総就職者23人で全体ランク15位の立教大で、5人が就職している。
■井沢秀(いざわ・しげる) 大学通信情報調査・編集部部長。1964年2月6日、神奈川県生まれ。明治大学卒業後、受験情報・分析を主力事業とする大学通信入社。大学の入り口(入試)から出口(就職)まで、情報を収集し発信中。中高・大学受験の案内書・情報誌を編集するほか、新聞社系週刊誌、経済誌などへの情報提供と記事執筆を行う。