平和記念式典であいさつする岸田首相(6日午前8時37分、広島市中区で)=吉野拓也撮影
被爆地・広島選出の岸田首相は6日の平和記念式典でのあいさつで、「核兵器のない世界」の実現に向けた決意を強調した。
「真夏の太陽が照りつける暑い朝、一発の原子爆弾が広島の街を一瞬にして破壊し尽くした」「川ではあまたの人がたおれ、街中には水を求めてさまよう人々の姿」――。首相は、原爆の悲惨さを伝える描写を多数盛り込み、歴代首相のあいさつからは一変させた。首相は、核軍縮をライフワークとしており、「首相の強い思いが込められた」(政府関係者)という。
首相は1日、米ニューヨークで開幕した核拡散防止条約(NPT)再検討会議に日本の首相として初出席し、核兵器不使用の継続や透明性の向上などを訴えた。
11月には、核保有国と非保有国の政治リーダーらが参加する「国際賢人会議」、来年5月には先進7か国首脳会議(G7サミット)がそれぞれ広島で開かれる。首相は核軍縮の機運を高め、働きかけを強めたい考えだ。