小ぶりな黒のバッグで女性らしい佇まいに(2006年3月5日、Ph/JMPA)
秋冬になるとシックなトーンの服が増えますが、ちょっとの工夫でおしゃれ度がアップします。そこで、皇后雅子さまのモノトーンファッションをチェック。アクセサリーなどで差し色をプラスしたり、柄や異素材を盛り込むなど、おしゃれ度をあげる秘訣が満載。その着こなしをスタイリストの横山麻里さんに解説してもらいます。
【写真15枚】モノトーンコーデを着こなされる皇后雅子さま。パールアクセサリーやヘッドアクセサリー、ハイネックのインナーなどで洗練された雰囲気に
モノトーンは異素材をMIXさせるとおしゃれに昇華
モノトーンは、まとまり感は出るものの単調な印象になってしまうのが難点。スタイリストの横山さんにアドバイスをもらいました。
「色合いとしてシンプルになってしまうモノトーンコーディネートには、大ぶりのアクセサリーやインパクトのある小物を合わせたり、秋冬ならベルベット素材など異素材を混ぜ込むなどモノトーンの中にもメリハリをつけることでおしゃれ度が上がります」(横山さん・以下同)
モノトーンにグリーンの差し色、ヘッドアクセもポイントに
2000年2月、静岡県の沼津御用邸記念公園を訪問された天皇陛下(当時は皇太子)と雅子さま。雅子さまはモノトーンコーデにこっくりグリーンのハイネックトップスを覗かせるというおしゃれ度の高いコーディネートでした。
「深みのあるグリーンを差し色にしたモノトーンコーディネートは、秋冬らしさがより濃厚に感じられます。柄のジャケットは襟やボタンに黒色が施されているので、コーディネートに上品になじんでいます。他にも、ヘッドアクセサリーや、小物を黒でまとめることで、全体的に統一感のある雰囲気にまとまっているのが素敵ですね。
柄ものを上半身に持ってきて、黒パンツを合わせると、視線がトップにいくので、スタイルアップ効果もあります。さらに、雅子さまのように、顔周りに、ゴールドのアクセサリーを合わせることで、明るく華やかさも演出できます。
モノトーンコーディネートは、トップスに明るいカラーを取り入れると、若見え効果も。黒パンツであれば、トップスは、どんなカラーとも相性がいいです。小物も黒で統一させれば、おしゃれ度の高いモノトーンスタイルが完成します」
完璧なモノトーンコーデも顔周りは白多めで明るく
2006年3月、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)アジアラウンドの日本-韓国戦を観戦された天皇陛下(当時は皇太子)と雅子さま。
「白×黒のモノトーンコーディネートも、同一カラーの柄ジャケットを合わせることで、凛とした中に華やかさが備わります。パンツスタイルですが、大ぶりのパールのイヤリングを合わせることで、女性らしさがプラスされています。黒パンツに黒のショートブーツを合わせ黒でつなぐと脚長効果も。
白×黒のモノトーンコーディネートには、トーンを合わせつつ華やかさもプラスできるパールアクセサリーがベストマッチ。大ぶりのパールや、ロングネックレスなど、存在感があって、コーディネートのポイントになるようなデザインをセレクトすると一層おしゃれです」
胸元の柄スカーフがアクセントになり華やか
2006年10月、天皇陛下(当時は皇太子)とともに、奈良国立博物館にて第58回正倉院展を鑑賞された雅子さま。白黒のモノトーンコーデに、胸元のスカーフが印象的でした。
「モノトーンコーディネートに、柄のスカーフ使いが気品漂う着こなしですね。スカーフにも、さり気なく、白黒カラーが取り入れられているのでまとまり感もあります。顔周りにスカーフを巻くことで、一気に顔周りが明るくなり、スカーフの光沢感によるツヤ感もプラスされます。スカーフや白ジャケットにより、視線も上に上がるので、スタイルアップにつながる着こなしになっています。
肌見せでの抜け感を作るよりも、アラフィフ世代は、白などの明るいカラーやスカーフなど小物の素材のツヤ感を生かすと若見えします」
足元に向かってトーンを落とすグラデーションで柔らかいモノトーンコーデに
2006年11月、学習院幼稚園の遠足で、愛子さまと東京都多摩動物公園へ。雅子さまは、グラデーションのモノトーンコーデをご披露。
「グラデーションのモノトーンコーディネートは、女性らしい柔らかい雰囲気に仕上がります。秋冬はコーディネートの分量が多いコートを白にすることで、モノトーンではありますが、全体的に明るい印象になっています。さらに、ベルテッドコートでウエストマークされていて、スタイルよく見える着こなしになっています。
グラデーションのモノトーンコーディネートは、上半身を明るくしてグラデーションを作り、色のコントラストをつけすぎないことで、より女性らしくなります」
素材感が印象的なアウターは黒でも沈まずコーデのポイントに
2007年11月、学習院幼稚園の遠足で、東京都多摩動物公園に到着された雅子さまと愛子さま。雅子さまはハイネックにピーコートを合わせたお気に入りのコーディネートでご参加。
「織りのある素材のコートは、柄のようにも見え、コーディネートのポイントに。また、白タートルが顔周りを明るく、抜け感を出しています。モノトーンコーディネートでも雅子さまのように織りのある素材のアウターをセレクトすると地味にならずおしゃれです。トーンはそろっていても、コーディネートのアクセントになり、単調になりません。
ボトムはシンプルに。デザイン性のあるものは、トップスやアウター、小物で取り入れるとバランスよくまとまります」
アクセサリーもモノトーンMIXにすることでハイセンスな着こなしに
2013年2月、民族芸能公演を鑑賞されるため、国立劇場を訪問された天皇陛下(当時は皇太子)と雅子さま。
「アクセサリーも白×黒のMIXパールでそろえるという、ハイセンスな着こなし。ベルベット素材があしらわれたジャケットからは、クラシカルな雰囲気が感じられ、季節感も漂っています。MIXパールのネックレスやイヤリングの白が、ほどよく抜け感を出し、大きめの粒で存在感があるので視線が上がります。
モノトーンコーディネートを作るとき、異素材をMIXすると、コーディネートが立体的になり、おしゃれに仕上がります。秋冬であれば、雅子さまのようなベルベットをはじめ、コーデュロイ、スエード、ファーなど、季節感が感じられるものがおすすめです」
黒多めのモノトーンコーデもエナメルやパールのツヤ感でさり気なく華やかに
2014年11月、ユネスコ世界会議ご出席のため愛知県入りし、ホテルに到着された天皇陛下(当時は皇太子)と雅子さま。
「パンツスーツの着こなしも、インナーやパールアクセサリーで白を取り入れることで、清楚な雰囲気に。エナメル素材のパンプスは光沢感があるので、足元に抜け感が出て、重い印象になりません。
モノトーンのパンツスーツはメンズライクになりがちなので、足元は、ショートブーツよりも、パンプスで抜け感を作ると女性らしくなります。小物には、光沢感をプラスするのがポイント。エナメル素材や、細いチェーンバッグなど、どこかに輝きをプラスすると若見えし、バランスがよくなります」
◆ファッション解説:スタイリスト・横山麻里さん
ほどよくフェミニンで上品なカジュアルスタイリングが参考になると、同世代の女性たちからの支持多数。大人女性のファッション誌を中心にカタログや広告で活躍中。