日の丸を手に笑顔の板倉滉、堂安律、冨安健洋(撮影・金田祐二)
「カタールW杯・1次リーグE組、日本代表2-1スペイン代表」(1日、ドーハ)
最終戦が行われ、世界ランク24位の日本は同7位のスペインに2-1で逆転勝ちし、同組首位で決勝トーナメントに進出した。前半に1点を先制されたものの、後半にMF堂安律(フライブルク)、MF田中碧(デュッセルドルフ)の得点で競り勝った。2010年優勝国から挙げた大金星を、2002年日韓、06年ドイツW杯日本代表の福西崇史氏が分析した。
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ドイツ戦と同じような流れだった。後半、行かなくてはいけなくなり、早々に点を取れたから乗った。前半はある程度、我慢するという部分はあったと思うが、相手をリスペクトしすぎたのか、リスクが怖かったのか。勇気が持てなかった。
前半は行かなかったというよりも、行けなかったと思う。前田がどちらかに振られた瞬間に、センターバックの1人が出てくる状況で、遅れて田中が行こうとしていたけど行けなかった。そしてボール保持者にボールを回されて、相手を下げさせることしかできない。後手後手が続いた。
だが後半、行くとなって、がっちりとはめにいったときに、相手は嫌がった。一本取れたから、勢いのまま2点目が取れた。
堂安のゴールは、前田、三笘らがプレッシャーにいったからに尽きる。下げさせて、GKまでいき、他の選手もマークが遅れてでもいった。その結果、相手がコントロールミスをして、伊東は詰めることができた。堂安がボールを取ったときは、もうシュートゾーンにいた。そしてシュートが重いから、GKは後ろにしかはじけなかった。気持ちがこもっていたから、そうなったのだと思う。
2点目も、前へ前へとなっているから、ロングボールで伊東に出た時は、田中がサポートにいけていた。そして堂安がペナルティーエリアの中でもらった。押し上げていき、パスコースの選択肢を増やせた2点目だった。
守備についても、冨安が入ったことが大きい。サイドを突破されないから、ラインを引かなくても良くなった。ボランチからすれば、前のラインを抑えることに集中できるから楽になる。スペインは勝負をしようとしたが、バランスの取れた日本は崩せない。しっかりとブロックを組まれれば、突っ込んでも突破することは厳しい。
森保監督の采配も光った。後半どう修正するかとなり、早く選手を代えた。そして選手たちが結果を残し、次は守るとなった。決断が早い分、選手からしても分かりやすかった。
1次リーグを終えたが、スペインとドイツの両方を倒すとは、だれも想像していなかっただろう。日本のサッカーを世界中に見せつけた。
次のクロアチアだが、ドイツとスペインと比べて、多少なりともレベルは下がるとは思う。ただ、みんなしっかり走る。組織的に戦ってくるチーム。組織力で負けないことが重要になる。日本は思い切っていったから、1次リーグで結果を残せたのだと思う。決勝トーナメントも同じ気持ちでいくことが大切だ。