水俣病の患者・被害者団体側の発言中に「時間超過」とマイク切る…環境省が謝罪へ
進行を巡り混乱が起きた懇談(1日)
熊本県水俣市で1日に行われた水俣病の患者・被害者団体と伊藤環境相との懇談で、団体側の発言中に環境省の職員がマイクの音を切っていたことがわかった。同省側は「事前に伝えた発言時間を超過した」と説明するが、団体側は「一方的に発言を打ち切られた」と抗議。同省は7日、担当室長が謝罪に出向くことを明らかにした。
懇談は、水俣病の公式確認から68年を迎えた1日に営まれた犠牲者慰霊式後に行われ、8団体が出席。患者や被害者が順次、要望などを述べたが、環境省側は「1団体3分」で発言を終えるよう何度も促し、超過した際にはマイクの音量をゼロにする対応をとった。
未認定患者団体「水俣病患者連合」の松崎重光副会長(82)は、被害に苦しみながら亡くなった妻について話していた際、「話をまとめてください」と遮られ、直後にマイクの音を切られた上、マイクを回収された。出席者からは「聞いてやりいな、大臣」などと抗議の声が上がったが、伊藤環境相は「マイクを切ったことについては認識しておりません」と述べ、紛糾する会場を去った。
この日、司会を務めた環境省の木内哲平・特殊疾病対策室長は7日、報道各社の取材に応じ、「思いを語っている中、突然(マイクを)切られたのはショックだったと思う。不信感を抱かれる対応だった」と陳謝。伊藤環境相の指示を受け、発言中にマイクの音を切られた2人に直接謝罪する考えを示した。
一方、出席団体の多くが所属する水俣病被害者・支援者連絡会(水俣市)は7日、環境相による謝罪と再度の懇談を求める要望書を環境省宛てに郵送した。