KDDIのローソンTOB 通信と実店舗の融合で経済圏強化 焦点は魅力的なサービス創出
KDDIがローソンにTOBを実施するのは、通信事業が伸び悩み多角的な事業展開を模索するKDDIと、業界3位に甘んじ、新たな一手を欲していたローソンの思惑が一致したためだ。共通のポイント「ポンタ」を軸に両社の強みを生かしたサービスを展開すれば「経済圏」の深化につながる。TOBを経て通信事業と実店舗を融合させた魅力的なサービスを打ち出せるかが焦点となる。
「未来のコンビニエンスストアを(3社で)共に作っていく」。KDDIの高橋誠社長は6日、三菱商事、ローソンと合同で開いた記者会見で、ローソンの全国約1万4600店舗にKDDIの通信技術を融合し、利便性を向上させると説明した。店舗でオンラインによる服薬指導や、スマートフォンの設定などに関するサポートが受けられるサービスなどの提供を想定する。
KDDIはポイント戦略強化のためにポンタ運営会社の株式を取得し、令和2年に自社ポイントをポンタに統一している。政府主導の通信料値下げなどの影響で本業の通信料収入が伸び悩んでいることから、ローソンと関係を強化し、ポンタを絡めた新たなサービスを模索し経済圏のさらなる強化につなげたい考えだ。
平成29年に三菱商事の子会社となったローソンも、三菱商事グループの食品調達網を生かし商品力の向上に努めたが、業界売上高では3位にとどまる。この日の会見でも三菱商事の中西勝也社長は「これ以上、サポートできる部分があるのかと悩んでいた」と説明。KDDIの顧客を取り込むことができれば浮上が期待でき、共同経営する三菱商事にもメリットが生まれる。ローソンの竹増貞信社長は「(KDDIと)将来像を共有し、お互いに追求していける」と述べた。(根本和哉、福田涼太郎)