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マイナンバーカード機能のスマホ搭載で生活がどう変わる?メリットとデメリットは?
国の方針で、マイナンバーカードの機能をスマホに搭載する計画が進んでいます。
ただ「プラスチックのカードではなく、なぜスマホ?」「メリットは?デメリットはないの?」など、多くの疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、マイナンバーカード機能のスマホ搭載によって、私たちの生活にどんな影響があるのか解説します。
■スマホにマイナンバーカードの機能を搭載できるように
2023年5月11日から、マイナンバーカードの機能をスマホに搭載できるようになる予定です。
正確には、既存のマイナンバーカードに搭載されている、「公的個人認証サービスの電子証明書」の機能をスマホで利用できるようになります。ざっくり言うと、カードが手元になくても、スマホだけで行政のオンライン手続きなどに必要な本人確認が済ませられるということです。
これまでは、たとえば確定申告などのオンライン手続きをする際には、スマホにマイナンバーカードをかざして読み取るという作業が必要でした。今後は、マイナンバーカード搭載済みのスマホならその作業が必要なくなります。
とはいえ、「それだけ?」「本当に私の役に立つ?」と思う人もいるでしょう。マイナンバーカードのスマホ搭載のメリットについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
■マイナンバーカードのスマホ搭載のメリット
国は、マイナンバーカードの利便性向上を掲げています。
総務省が公表した資料(「マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載等に関する検討会」第2次とりまとめ)によると、マイナンバーカードの機能をスマホに搭載することで、「スマホひとつでいつでもどこでも、さまざまなサービスを利用できる状態」を目指しているとのことです。
具体的には、スマホ搭載によって以下のようなことが実現できると発表されています。
●マイナポータル
マイナポータル(自分の税金・年金や利用可能な行政サービスなどを確認できるサイト)に、マイナンバーカードをかざさなくても、スマホの顔認証や指紋認証などを使ってログインできるようになる。
●オンライン手続き
給付金の申請や確定申告など、オンラインでの行政手続きがいつでもどこでもできるようになる。民間企業と連携して、住宅ローン契約や携帯電話の申込み、証券口座の口座開設などにも利用できるように。
●コンビニ交付
マイナンバーカードの機能を搭載したスマホさえあれば、コンビニで手軽に住民票の写しや印鑑登録証明書が取得できるようになる。
●健康保険証
病院に行くとき、健康保険証やマイナンバーカードを持っていなくても、スマホだけで診察が受けられるようになる。
上述したメリットを見ても、スマホにマイナンバーカードの機能が搭載されることで生活がとても便利になりそうです。
■マイナンバーカードのスマホ搭載のデメリット
デメリットとしては、今のところiPhoneが対象外という点が挙げられます(2022年11月時点)。2023年5月11日からスマホ搭載ができるのは、現時点ではAndroidだけです。Appleとの協議が必要なため、今後導入されるとしても、その時期はAndroidよりも遅くなるのではないでしょうか。
情報漏洩や不正利用などのリスクが気になるという人も多いでしょう。スマホという普段持ち歩いているものに、何でも手続きできるような重要な情報を入れてしまって大丈夫なのかという声もあります。
国もこの点を考慮して、セキュリティ対策に力を入れています。「マイナンバーカードの機能が使われたらメールで知らせる」、「スマホ紛失時などは遠隔でマイナンバーカード機能を削除できるようにする」といった悪用防止機能が実装される予定です。
■まとめ
マイナンバーカードの機能がスマホに搭載できるようになれば、面倒だった手続きが今までより手軽にできるようになったり、何枚もカードを持ち歩く必要がなくなって身軽になったりするでしょう。
2023年5月からスタートなのでまだ詳細がわからない部分もありますが、デジタル技術によって社会がどんどん便利な方向に向かっていることは間違いなさそうです。
文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
関西学院大学商学部卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。