SNSの総フォロワー数は300万人を超え、今年もメディアで引っ張りだこだった「ひろゆき」こと西村博之氏。最新刊『99%のバイアス』(ダイヤモンド社)が刊行された同氏にインタビュー。ひろゆき自身が語る自身のブームの終わりと、審査員として参加した格闘技イベント「BreakingDown」について語った。
――ひろゆきさんはいまやメディアの寵児になっています。何がきっかけだと考えていますか。
別にメディアの寵児にはなってないと思うんですけど。ただテレビの露出が増えたのと、YouTubeとかがうまくいった時期が重なっていて、なんかよく見かける、顔を見ただけで誰だか認識できるっていう状態になった。それでいくとYouTubeの切り抜き動画がきっかけじゃないかなと思いますけど。
切り抜きがあって、YouTubeで見られるようになって、Twitterのフォロワーが100万フォロワーを超えてから、テレビが呼びやすくなったと思うんですよね。
2ちゃんねるの創設者というだけではテレビに呼んでも「なんで?」となっちゃうと思うんです。サイトを作った人、アプリを作ったという人はいっぱいいるので。
ただTwitterで100万フォロー超えてますとか、YouTubeで登録者100万人超えてます、というだけで「きっと価値があることを言う人なんだ」「多くの人が興味を持っているのだろうし、出せば視聴率とれるんじゃね」と、メディア側の人が思い込んでいる状況だと思うんですよね。
――『99%はバイアス』を読むと、西村博之が「ひろゆき」というキャラのロールプレイングをしているようにも思えます。西村博之は「ひろゆき」の賞味期限をどのぐらいに考えているんでしょうか。
何をもって賞味期限と呼ぶかになってくると思うんですけど。テレビだけ出てる人って、テレビに出なくなったから「この人、人気がないんだ」となると思うんですよね。ただYouTubeとかTwitterとか数字が元になってる場合って、数字が下がらない限りあんまりそう言われないんですよ。
だからTwitterで300万フォロワーいる人の発言が全然リツイートされてなかったとしても、それでもやっぱり「300万フォロワーがいる人」という見方をされ続けるんですよ。なのでTwitterで賞味期限が切れたと言われてる人を見たことない。YouTubeは動画再生数があるので、「登録者数はこんなにいるのに動画の再生数が伸びない」となると賞味期限が切れたと言われる状態なんですけど。
ただYouTubeもある程度の登録者数がいる人って、面白さがあまり必要ない。見ている人も超面白いから見てるというより習慣で見続ける。なので、劇的に再生数が減った人って本当に数えるぐらいしかいないんですよ。
テレビの場合だと、お茶の間の人たちが楽しまなきゃいけないので、それなりに質の高い面白さ、頭の良さとかを要求されるんですけど、YouTubeの場合って、この人が好きというだけで見続けるので、あんまり数字が下がらない。SNSとかYouTubeとかで数字を持ってる人が賞味期限切れになるっていうのは、やらかすとかじゃない限り難しいんじゃないかと思うんですよね。
「BreakingDown」の審査員を引き受けた理由
――「やらかす」ですか。
メンタリストDaiGoさんとか、やらかしてだいぶ数字が下がったりというのがあったので。ただそっちでいくと僕も時間の問題だと思うんですよね。やらかしのラインが時代によって変わってるので。
20年前ぐらいだと「とんねるず」が保毛尾田保毛男を地上波で流せたわけじゃないすか。今やったら、完全にアウトですよね。なので僕が今やってるようなことが、たぶん5年後ぐらいに「ひろゆきのこれはアウトだよねっ」て掘り出されて、確かにこれはアウトだよねっていうので、社会的にこの人はどうなのっていう方向になるんじゃないかなと思ってます。
――わりとなんでもお仕事は受けられていると思うのですが、その中で断った仕事とかってどんなものありますか。
予定が合わないところ以外は大体受けてますけどね。あと企業案件的なやつで、これを言ってくださいとかこれをやってくださいとかだと、僕じゃなくてもいいんじゃないですかっていうのはやらないんですけど。
――「BreakingDown」の審査員は単純に興味があったからですか。
なんか面白そうだと思って行ってみたら、やっぱりおかしな人たちがいっぱいいるんで面白かったです。僕は地元が東京の北区赤羽で、周りが輩だらけだったんですけど、大人になると生活している場所がずれて、輩との直接の接点ってなくなってくるじゃないですか。
「大人はこうしちゃいけませんよね」という、大人の論理はビジネス界では通用していて、年を取るとまともな人しか残ってこないので、会う人がそういう人になるんですけど、「BreakingDown」では「むかついて殴って何が悪いの」って純粋に聞いてくる人がいて、ひさびさ見ると「いたいた、こういう人」と懐かしい、楽しい気分になります。
BreakingDownで最も印象に残った選手
――ひろゆきさんの推しの選手っていますか。
おでんの彼(”おでんツンツン男”こと豊嶋悠輔)は面白かったですね。こいつと試合したいとか1人に喧嘩売って試合にすればいいんですけど、誰彼ともなく全員に喧嘩売ってる。逆に服を破られたのにいきなり冷静なトーンでしゃべったり。
普通、人って怒ったらもっと感情的になって大きい声出したりするんですけどそれがなくて、普通の人間と違う感じがすごく面白くて。
――現在、絶縁中の堀江貴文さんと「BreakingDown」で試合をしてもいいと発言されてました。
やりたいわけではないんですけど。体重差があるので、堀江さんが体重を下げていただければ。
「BreakingDown」はたまに傷害罪的なものがあるので、そのいかがなものかなっていう部分が面白いと思うんですけど、あくまで僕はスポーツの枠でやりたい。そうすると格闘技って体重差はすごく大きいので、そこはきちんと合わせないとスポーツにならないっていう。
――ひろゆきさんは「論破王」といわれ、論破するのが一つの勲章になってます。
まず、論破がどうこうというのを僕は言ったことはないんですよね。勝手に周りが言ったり、出版社とかがそう打ち出しているだけなので、お好きにどうぞという感じなんですね。
『マッドマックスTV論破王』(Abema)で、僕はクロちゃんに負けているので、論破王という称号はむしろクロちゃんが持っている。なので、僕には使わないで欲しいと思います。
取材・文/徳重龍徳 撮影/榊智朗
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『99%はバイアス』(ダイヤモンド社)
ひろゆき
2022年9月7日
1650円(税込)
単行本(ソフトカバー) 320ページ
978-4-09-388893-6
空前の大ヒットを記録した『1%の努力』45万部突破の続編!
2021年、大ブレイクを果たした「ひろゆきブーム」の裏側を初めて語る。
「この本では、影響力の秘密を明かそうと思う。」
「権威づけ戦略」「1秒の反射神経」「承認欲求の解放」「有閑階級の生き方」「伏線回収の人生」……
影響力を生み出す戦略とは、いったい何か?
本書は、切り抜き動画が月間3億回再生を超え、SNSの総フォロワー数300万人にまで上り詰めたネット界の人気キャラクター「ひろゆき」のすべてを明かす。