「大学のスリム化を」 千葉科学大の公立化検討委で再編求める意見続出 千葉・銚子市
千葉科学大の公立化を議論した第2回の検討委員会
学校法人「加計学園」(岡山市)が運営する千葉科学大(千葉県銚子市)の公立化要望について、銚子市は12日、その是非を巡る検討委員会の第2回会合を市内で開いた。複数の委員から公立化する場合でも現在の赤字経営から脱するには、学部再編を含めたスリム化が避けられないとの意見が続出。さまざまな公立化後の大学形態を想定し、議論する方針を確認した。
「公立化で学生集まり黒字に」
平成16年開校の千葉科学大は現在、薬学、危機管理、看護の3学部と大学院で構成する。しかし、若年層人口の減少もあり、近年は定員割れ。赤字経営が続いており、学園は昨秋、公立化を市に求めた。
学園はこの日の検討委でも公立化によるメリットとして授業料が割安になることで学生が集まり、黒字に転じると改めて主張した。これに対し、複数の委員は「学部学科の再編議論は避けられない」「大学をスリム化しなければいけない。現状のままで市に押し付けようとしても進まない」と、大学再編を求める意見が相次いだ。
別の委員は、大学経営の現状について「バケツに穴があいている状態だ。まず穴をふさぎ、銚子市のニーズに沿った学部創設を考える必要がある」と指摘した。
「公立化は共存共栄の試金石」
大学が学生募集の際、アピール材料とする薬剤師など各種国家試験の合格率が全国平均を下回っている現状にも厳しい指摘があった。今後見込まれる大学施設の改修や建て替え費への学園による資金手当てが不十分なリスクも明らかになり、公立化で市の財政負担が増える懸念がある。
公立化が「最善の策」と主張する東祥三学長は席上、大学再編に関して「議論しなければいけない問題だ」と応じた。ただ、民間有志の「人口戦略会議」による分析で若年女性が将来、大幅に減少する「消滅可能性自治体」に市が入ったことに触れ、市のこれまでの人口減対策を暗に批判。「(公立化は)共存共栄を探る試金石だ。市は前向きに対応してほしい」と不満をあらわにした。
減少する経済効果
銚子市は千葉科学大の誘致当初に算定した地域への経済効果と市財政への効果を下方修正し、12日の検討委で新たな算定結果を公表した。
市によると、大学誘致当初の平成15年度ごろ、市は学生や教職員2600人が市民となり、飲食など毎年69億円の経済効果があると試算したが、今回、学生数の定員割れなどが響き22億円に。人口増による地方交付税収などで当初は79億円とはじいた約20年間の財政効果も46億円に改めた。(岡田浩明)